大阪・関西万博会場に完成!世界最大の生分解性3Dプリント建築「森になる建築」
2024年10月25日、大阪・関西万博会場の「大地の広場」に建設された「森になる建築」の構造体が完成し、「生分解性樹脂を構造材として一体造形した、世界最大の3Dプリント建築」としてギネス世界記録TMに認定されました。 このプロジェクトは、株式会社ダイセルが協賛・協力し、株式会社竹中工務店が設計施工を担当しました。
世界最大級の3Dプリント建築:環境に配慮した革新的な構造
「森になる建築」は、万博来場者の休憩スペースとして提供される仮設建築物です。その最大の特徴は、株式会社ダイセルの酢酸セルロース樹脂「CAFBLO®」を3Dプリント技術を用いて構造材として一体成形している点にあります。 この「CAFBLO®」は、植物由来のセルロースと酢酸を原料とする天然由来で生分解性を持つ環境に優しい素材です。木や綿花などの非可食性材料を主原料としているため、食糧問題への影響もありません。
直径4.65m、高さ2.95mの2棟からなるこの建築物は、生分解性樹脂を3Dプリントして建築する構造物としては世界最大規模を誇り、その革新的な技術と環境への配慮がギネス世界記録TM認定へと繋がりました。正式なギネス世界記録TM登録名称は、日本語で「最大の生分解性の3Dプリント建築(一体造形)」、英語で「Largest 3D-Printed biodegradable building (monolithic)」です。
伝統と自然が融合した建築デザイン
構造材としての「CAFBLO®」に加え、「森になる建築」のデザインにも環境への配慮と日本の伝統が反映されています。外装材には、伝統工芸である手すきの和紙や、植物の種をすきこんだ和紙「シーズペーパー」、そして福祉施設で作られた和紙が使用されます。これらの素材と植物を組み合わせることで、自然と調和した、温かみのある空間が創出されます。内装材にも「CAFBLO®」が使用され、構造材がそのまま見える「表し」仕上げとなっています。床材には三和土が用いられています。
建設工程と今後の展開
「森になる建築」の3Dプリントによる構造体建設は2024年8月から開始され、10月25日に完了しました。 今後は、外装工事として和紙の貼り付けや緑化工事を進め、2025年4月の完成を目指します。
企業概要(簡潔版)
- 株式会社ダイセル: 酢酸セルロース樹脂「CAFBLO®」を製造・販売。
- 株式会社竹中工務店: 「森になる建築」の設計施工を担当。
関連動画
竹中工務店公式YouTubeチャンネルには、本建築に関する動画が公開されています。
- 「森になる建築 3Dプリントした構造体が完成」
- 「Seeds Paper Pavilion -未来都市の種となる建築-」
「森になる建築」概要
- 建築地: 大阪・関西万博会場 大地の広場
- 設計施工: 株式会社竹中工務店
- 工期: 2024年8月~2025年4月
- 大きさ: 直径4.65m、高さ2.95m
- 棟数: 2棟
- 構造: 酢酸セルロース造
- 主要仕上材:
- (外装)紙、植物の種子・苗
- (内装)酢酸セルロース表し
- (床)三和土
CAFBLO®について
酢酸セルロース樹脂「CAFBLO®」は、植物由来のセルロースと酢酸を原料とする生分解性樹脂です。環境に優しく、食糧問題への影響もありません。株式会社ダイセルは、長年主力製品として取り扱ってきた酢酸セルロースの海洋生分解性を改めて評価し、様々なプラスチック製品への適用を目指して「CAFBLO®」のラインナップ拡大を進めています。
結論
「森になる建築」は、3Dプリント技術と生分解性素材を融合させた、世界をリードする革新的な建築物です。環境への配慮と日本の伝統技術が調和したこの建築は、大阪・関西万博において、未来社会へのビジョンを示す象徴的な存在となるでしょう。


