自律型ナビゲーションロボット「AIスーツケース」が大阪・関西万博で本格実証実験へ
2025年、日本IBM、日本科学未来館、アルプスアルパイン株式会社、オムロン株式会社、清水建設株式会社の4社が正会員として活動する一般社団法人次世代移動支援技術開発コンソーシアムは、共同開発を進める視覚障害者向けナビゲーションロボット「AIスーツケース」のデザインを一新し、新機能を搭載したモデルを発表しました。この新型AIスーツケースは、大阪・関西万博で本格的な実証実験が行われる予定です。
デザインを一新、新機能を搭載したAIスーツケース
従来、市販のスーツケースをベースとしていたAIスーツケースですが、今回はオリジナルデザインを採用。 段差乗り越え機能を強化した新車輪機構や、低位置の障害物も認識できるセンサーを追加することで、安全性と機能性が向上しました。ハンドル部分には、進行方向を視覚的に確認できるディスク型の方向提示装置を搭載。利き手に関わらず使用できるようデザインされ、持ち手の高さも調整可能です。
さらに、AIによる音声機能も搭載されました。RGB-Dカメラで周囲を画像認識し、建物、道路状況、歩行者に関する情報を音声でアナウンスします。今後の開発として、パビリオンや施設情報に関するユーザーからの質問への回答機能、ユーザーとの対話から興味を導き出し、おすすめの行き先やルートを提案する機能などが計画されています。
大阪・関西万博での実証実験
AIスーツケースは、大阪・関西万博の「ロボットエクスぺリエンス」の一環として採用され、2025年4月から10月にかけて、複数台を同時運用する大規模な実証実験が行われます。万博会場内での運用を通じて、社会実装に向けた運用モデルにおける技術的な課題の洗い出しなどが行われ、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会と連携して調整を進めています。
AIスーツケースのこれまでの歩みと開発背景
「AIスーツケース」は、視覚に障がいのある方を目的地まで自動で誘導する目的で開発されたスーツケース型ロボットです。日本科学未来館とコンソーシアムはこれまで、大型ショッピングモール、新千歳空港、日本科学未来館などの屋内施設において、一般ユーザーによる実証実験を実施してきました。さらに、Digital Innovation City協議会の協力を得て、未来館周辺の屋外公共エリアでの一般ユーザーによる実証実験も実施しています。2024年4月からは、日本科学未来館において毎日定常的な試験運用を行い、より多くの実証データを蓄積することで、ナビゲーション技術の向上に努めてきました。
新たに搭載された機能の詳細
新車輪機構と低位置センサー
段差をスムーズに乗り越えるための改良された車輪とストッパー機構、そして低い位置にある障害物や段差を検知するセンサーの追加により、安全性が大幅に向上しました。
新ハンドル設計
ディスク型の方向提示装置の採用により、ユーザーはハンドルを握りながら進行方向を確認できます。利き手を選ばず、持ち手の高さも調整可能な設計となっています。
AIによる音声機能
RGB-Dカメラによる画像認識に基づいて、周囲の状況情報を音声でアナウンスするAI音声機能が搭載されています。 将来的には、ユーザーからの質問への回答や、ユーザーの興味に基づいた行き先・ルートの提案機能が追加される予定です。
まとめ
視覚障害者向けナビゲーションロボット「AIスーツケース」は、デザインと機能性の向上を経て、大阪・関西万博で本格的な実証実験を迎えます。 長期間にわたる複数台同時運用による実証実験を通して、社会実装に向けた課題が検証され、より高度で使いやすいロボットの開発へと繋がる事が期待されます。


