フラワー・ロボティクス、大阪・関西万博シグネチャーパビリオン「いのちの未来」のロボット・アンドロイドデザインを担当

2025年、フラワー・ロボティクス株式会社は、大阪・関西万博のシグネチャーパビリオン「いのちの未来」館の共創クリエイターとして、館内に登場するロボットやアンドロイドの複数デザインを担当しました。2025年2月19日に行われたメディア発表会では、来場者を誘導する役割を担う移動ロボット3体のデザイン、Petra（ペトラ）、Punica（プニカ）、Pangie（パンジー）が公開されました。

「いのちの未来」館とフラワー・ロボティクスの連携

「いのちの未来」館は、大阪大学教授の石黒浩氏がテーマ事業プロデューサーを務めています。石黒氏とフラワー・ロボティクス代表の松井龍哉氏は、約四半世紀にわたる交流があり、ロボットに対する思想哲学を共有しています。今回のプロジェクトでは、石黒氏をはじめとする研究者やエンジニアらと議論を重ね、「私たちが選択したいアンドロイドはこれだ」、「新しい人間の姿だ」と思えるような、理想の未来社会を体現する表現を目指しました。

各ロボットのデザインコンセプト

ペトラ / Petra

「石」を意味するペトラは、未来の人類と共存する道具としてのロボットです。古代の人類が石や木を使って狩猟道具を作り、進化を遂げたように、未来の道具の原点回帰を表現。石や流木、神社の円鏡や禅寺の苔を材料としたデザインは、過去と未来を繋ぐ存在感を放っています。

プニカ / Punica

プニカは、赤い種の果実を持つザクロの属名です。約2000年前、ペルシャからシルクロードを経由してアジアに伝わり、平安時代に中国から日本に伝来しました。世界の文化が集まる万国博覧会の意味を象徴するザクロの物語をモチーフにした、生命感あふれるロボットです。

パンジー / Pangie

パンジーは、身体に植物の花粉をつけ受粉を助けるポリネーター（Pollinator）のように、会場で来場者と繋がり、新しいコミュニケーションを促進する天使のようなロボットです。1970年の大阪万博で発表された伝説のロボット「デメ」のデザインを、プニカと同様に継承しています。

関係者コメント

大阪・関西万博テーマ事業プロデューサー・大阪大学教授　石黒浩氏

「未来において文化はより深くなる」という考えのもと、未来を表現するパビリオンを準備してきました。松井さんのロボットのデザインは、まさにその考え方を象徴するものです。日本の伝統を踏襲した美しいデザインに感謝しています。

企画統括ディレクター　内田まほろ氏

石黒教授と対話を重ね、日本の文化を読み解きながら、現在から1000年先の人類の姿＝ロボットをデザインする、という難題に答えられるのは、日本の美意識、西洋のデザイン言語、そしてロボットの知見、全てを持ち合わせる松井さん以外にいませんでした。松井さんのデザインによって命を宿した、現在、未来、超未来という3つの時代のロボットたちは、笑いと、可愛らしさと、美しさをもって、世界のお客さまをお迎えしてくれると思います。

松井龍哉氏（フラワー・ロボティクス株式会社 代表）

石黒先生をはじめ多くの方々と議論を尽くし、多種のロボット・アンドロイドのデザインを行いました。それぞれが大変個性的ですが、全てに共通するデザインテーマは「日本的なる、もののあわれ」です。今後いかなる未来が来ようと、日本という歴史と風土から生まれるロボットの姿には、古代からの延長としての情緒や風情が、自然と滲み出た文化としての形があるはずです。そのような視点から生まれたデザインを万博会場でご覧いただき、「いのちの未来」について考える手がかりになれば幸いです。

フラワー・ロボティクス株式会社について

フラワー・ロボティクス株式会社は、2001年の創業以来、「ロボットを日常の風景にする」ことをビジョンに掲げ、工業デザインを軸としたロボットの企画・開発・デザインを行っています。ヒューマノイドロボット「Posy」「Palette」、自律移動型ロボット「Patin」などを自社開発し、KDDI社のスマートフォン＋ロボット「Polaris」など、企業や公共事業へのロボットのデザインコンサルタントも展開しています。

まとめ

フラワー・ロボティクス株式会社は、大阪・関西万博シグネチャーパビリオン「いのちの未来」において、来場者誘導ロボットPetra、Punica、Pangieのデザインを担当しました。これらのロボットは、日本の伝統文化と未来への展望を融合させたデザインが特徴で、万博来場者にとって印象的な体験を提供する役割を担っています。 松井龍哉氏の「日本的なる、もののあわれ」というデザインテーマに基づいた、個性豊かな3体のロボットは、来場者に未来への希望と、日本の文化の深さを伝えます。