2025年2月、大阪・関西万博でデモフライト予定の空飛ぶクルマ「SKYDRIVE」の飛行試験が公開
2025年2月、株式会社東陽テクニカ(本社:東京都中央区、代表取締役社長:高野俊也)が支援する飛行試験の様子が公開されました。試験の対象は、株式会社SkyDrive(本社:愛知県豊田市、代表取締役CEO:福澤知浩)が開発し、大阪・関西万博でデモフライトを予定している空飛ぶクルマ「SKYDRIVE」(SD-05型)です。
東陽テクニカは、SkyDriveの「サポーター契約」に基づき、計測事業で培った知見と技術を活用して、SKYDRIVEの安全性と耐久性の向上に向けた様々な支援を行っています。この支援は、2022年12月の契約締結以来継続されており、2025年2月の飛行試験公開はその成果の一部と言えるでしょう。
安全性・耐久性向上のための評価試験支援
東陽テクニカによる支援内容は多岐に渡ります。まず、同社が設計から構築まで携わった「電動推進システム評価ベンチ(eVTOL用アイアンバード)」を含む統合評価ベンチ装置を用いた安全性向上のための評価試験が実施されました。このベンチは、シミュレーターと連動して負荷をコントロールすることで、様々な模擬飛行をベンチ上で行うことができます。12個の被試験モーターとESC(Electric Speed Controller)へ回転数指示を与え、対向するダイナモメータで負荷をかけることで、推進システムの性能評価を行います。さらに、短絡などの異常状態を模擬する機能も備え、異常時の挙動評価も可能です。
ベンチの主なシステム構成は以下の通りです。
- バッテリーシミュレーター(大容量双方向直流電源システム)
- 低電圧用DC電源(電力回生式・双方向直流電源装置)
- ダイナモメータ、トルク計
- 計測ソフトウェア
耐久性評価においては、東陽テクニカが構築した耐久風洞設備が活用されています。この設備は、飛行中に受ける様々な荷重を模擬し、ローターやモーターの耐久性を評価する試験を実施するために用いられます。eVTOLはヘリコプターやプロペラ機とは異なる荷重を受けるため、解析と共に長時間の試験で耐久性を実証する必要があります。本設備によるローターやモーターの耐久性評価は、型式証明取得や安全性の向上に活用されると期待されています。東陽テクニカは、このような大型設備の据え付け工事にも対応しています。
さらに、東陽テクニカは実証機を用いた全機試験において、試験計画・リスク評価、各種ドキュメント作成、試験実施に対する人的支援も行っています。
東陽テクニカの取り組みと今後の展望
東陽テクニカは、海外パートナーとの試験アライアンス構築や試験管理ツールの独自開発にも取り組んでおり、欧米の優れた技術を取り入れながら、国内でのeVTOL試験の技術向上に貢献することを目指しています。設備構築だけでなく、試験支援サービスの事業化も推進しています。
SkyDriveと東陽テクニカについて
SkyDriveは、「100年に一度のモビリティ革命を牽引する」をミッションに掲げ、2018年7月に設立されました。豊田市を主拠点に、「空飛ぶクルマ」の開発と「ドローンサービス」の提供を行っています。2020年には日本で初めて公開有人飛行試験に成功しており、官民協議会の構成員として制度設計にも関与しています。現在、3人乗りの機体を開発中で、製造パートナーであるスズキ株式会社と共に、2024年3月からスズキグループの工場にて製造を開始しました。
東陽テクニカは、最先端の“はかる”技術のリーディングカンパニーとして、脱炭素/エネルギー、先進モビリティ、情報通信など多様な分野で事業を展開しています。クリーンエネルギーや自動運転の開発などトレンド分野への最新計測ソリューションの提供や、独自の計測技術を生かした自社製品開発にも注力しています。
まとめ
2025年2月、大阪・関西万博でのデモフライトを予定する空飛ぶクルマ「SKYDRIVE」の飛行試験が公開されました。東陽テクニカは、SkyDriveの安全性と耐久性向上に向けた評価試験を、独自の技術と設備を用いて多角的に支援しています。 今後も大阪・関西万博でのデモフライトや型式証明取得に向けて、両社の連携が継続されます。


