巫女70人が万博で舞を奉奏。神様に最も近い瞬間を、世界へ

2025年6月3日と4日、大阪・関西万博会場内EXPOホール「シャインハット」にて開催された「令和今昔四季物語絵巻」において、全国から集まった約70名の巫女による巫女舞が奉奏されました。このイベントは、伝統文化未来共創Projectによる象徴的プログラムの一つとして上演されました。

万博史上初！70人の巫女による神聖な舞
1. 巫女たちの言葉：私なんか、でも、私だからこそ
「令和今昔四季物語絵巻」：ショーではない、神事・儀式を目撃せよ
伝統文化未来共創Project：万博会場での6日間

万博史上初！70人の巫女による神聖な舞

「令和今昔四季物語絵巻」の後半を飾った巫女舞は、万博という国際舞台で日本文化を身体表現として世界に発信するという、これまでにない試みでした。参加した巫女の中には、これまで直接神職に携わった経験の少ない若者も含まれており、この稽古を通して日本文化と真摯に向き合う姿は、次世代による文化継承の象徴として注目を集めました。

本番直前の合同稽古は奈良・吉野の金峯山寺で行われ、全国各地で個別に稽古を重ねてきた巫女たちが集結しました。この合同稽古は、舞の完成度を高めるだけでなく、参加者同士の絆を深め、本番への覚悟を固める重要な機会となりました。

巫女たちは、人間国宝や宗家など、日本の伝統文化を支える第一人者たちとの共演を控え、重責と敬意を抱きながら稽古に励みました。神職経験のない巫女も、「日本文化を継ぎたい」という強い思いを持ってこの舞台に臨みました。彼女たちの舞は、「祈りの型」を通じて文化の精神に触れる、成長と継承の物語そのものでした。

巫女たちの言葉：私なんか、でも、私だからこそ

一人の巫女は、人間国宝と同じ舞台に立つことに対する緊張と、同時に「日本文化を継ぎたい」という強い思いを語っています。神社に奉仕するものの舞の専門家ではない彼女にとって、この舞台は「等身大の自分として、この“文化を継ぐ場”に誠実に参加すること」であり、巫女舞の型にとらわれず、心を込めて舞うことで、観客の心に何かが届くことを願っていると述べています。

「令和今昔四季物語絵巻」：ショーではない、神事・儀式を目撃せよ

「令和今昔四季物語絵巻」は、ショーではなく、日本古来の“祈り”と“感謝”の精神を核とした荘厳な儀礼芸術作品です。能、狂言、舞楽、和歌、佛教、山伏儀礼、巫女舞など、多様な分野の宗家・家元・人間国宝が集結し、時を超えて受け継がれてきた叡智と美が融合しています。観客は、単なる観客ではなく、この儀礼の“証人”となるのです。

物語は全9章からなり、「大晦日の清め」から始まり、「元旦の翁」「春の和歌披講」「秋の月見」、そして「世界平和への祈り」へと続きます。日本の四季をたどりながら、一年という時を神聖に刻む物語は、“今を生きる私たち”と“千年の叡智”とをつなぎ、未来へ祈りを捧げる儀式として、静かに、しかし確かに、胸の奥に刻まれました。