2025年5月27日より、大阪・関西万博会場内の保冷輸送にて活用開始。タイガー魔法瓶、新開発の「ステンレス密封真空断熱パネル」を採用したリーファーコンテナ(冷凍・冷蔵)や保冷ボックスを初お披露目
タイガー魔法瓶株式会社は、日本通運株式会社および岐阜プラスチック工業株式会社と共同で、大阪・関西万博会場内の保冷輸送で活用を開始した、新開発のステンレス密封真空断熱パネル(TIVIP[ティビップ]:TIGER Vacuum Insulated Panel)採用の保冷輸送器材に関するメディア向け取材会を2025年5月28日(水)に開催しました。
物流業界の課題とタイガー魔法瓶のソリューション
物流業界は、コロナ禍以降のEC市場拡大による宅配需要の急増、小口配送やラストワンマイルの効率化、ドライバーや倉庫作業員の人手不足、物流DXの推進、EVトラックの導入などサステナビリティ対応の加速、2024年4月からの労働規制強化による「物流2024年問題」、地政学リスクを背景としたグローバルサプライチェーンの再構築といった課題に直面しています。
こうした課題に対し、タイガー魔法瓶は100年にわたる真空断熱技術を活かし、新開発の「ステンレス密封真空断熱パネル(TIVIP)」を開発。高断熱・長寿命・不燃を実現し、リーファーコンテナや輸送ボックス、建築資材などへの展開を検討しています。省エネ・安全性・リサイクル性に優れた新素材として注目されており、物流・建築分野への導入拡大を目指しています。
万博会場での実証実験
2025年5月27日より、大阪・関西万博会場内において、食品・飲料・土産物など温度管理が必要な貨物輸送に、TIVIP採用の真空断熱ロールボックスと真空断熱プロテクトボックス(”プロテクトBOXサーマル”)、真空断熱リーファーコンテナ(冷凍・冷蔵)(今後の導入検討)が活用開始されました。万博での実証では温度データの取得・分析が行われ、プロテクトBOXサーマルは2026年度の商品化を目指しています。
協業パートナーと技術
TIVIPは、岐阜プラスチック工業株式会社が開発した樹脂製ハニカムパネル「テクセル」でサンドイッチされ、保護されています。この断熱ユニットパネルを日本通運株式会社の輸送梱包ツールである「プロテクトBOX」などに採用することで、高性能な保冷輸送が可能となりました。従来の冷凍・冷蔵・定温輸送では必須だった蓄冷材や蓄熱材が不要となり、電力使用量の大幅な削減を実現しています。
日本通運株式会社は、航空、船舶、鉄道、トラック、倉庫、ITを駆使し、高品質でサステナブルなロジスティクスをグローバルで提供するNXグループの中核会社であり、大阪・関西万博における「推奨物流事業者」「場内貨物取扱指定事業者」です。岐阜プラスチック工業株式会社は、樹脂製ハニカムパネル「テクセル」を開発・製造しており、その軽量性、強度、多用途性を活かし、様々な分野で活用されています。
ステンレス密封真空断熱パネル(TIVIP)の特長
TIVIPは、パネル内部を真空状態にすることで熱伝導を非常に低く抑えた高性能な断熱材です。一般的な真空断熱以外の断熱材と比較して、非常に薄い厚みでも高い断熱効果を発揮します。ステンレスの使用により、不燃性と高断熱性の長期間維持が可能となりました。この卓越した断熱性能により、エネルギー効率や温度管理が求められる輸送分野や建築・建材分野での活用が期待されています。
未来社会ショーケース事業での展示
「ステンレス密封真空断熱パネル技術」は、大阪府の「カーボンニュートラル技術開発・実証事業」の支援を受けて開発・実証されています。2025年10月7日から10月13日までの期間、2025年日本国際博覧会『未来社会ショーケース事業・フューチャーライフ万博』「フューチャーライフエクスペリエンス」にて展示されます。
タイガー魔法瓶について
タイガー魔法瓶株式会社は、1923年創業。「世界中に幸せな団らんを広める。」というビジョンを掲げ、「温度」に関する技術を追求しています。「真空断熱技術」と「熱コントロール技術」を応用し、真空断熱ボトルを始めとする家庭用/業務用の真空断熱容器(魔法瓶)、炊飯器等の調理家電、輸送・建築・宇宙・医療等の分野での産業用部品及び製品の製造販売を、世界約60か国以上で展開しています。
まとめ
タイガー魔法瓶は、日本通運、岐阜プラスチック工業との共同開発により、新開発のステンレス密封真空断熱パネル「TIVIP」を採用した保冷輸送器材を大阪・関西万博で活用開始しました。 万博での実証実験を通じ、温度管理、省エネルギー、サステナビリティに貢献する技術として、今後、食品、医薬品、電子部品、美術品など幅広い分野への展開が期待されています。


