世界禁煙デー記念イベント2025 in EXPO開催レポート:受動喫煙のない社会を目指して
2025年5月31日(土)、大阪・関西万博テーマウィークスタジオ(大阪府大阪市此花区・夢洲)にて、「世界禁煙デー記念イベント2025 in EXPO」が開催されました。本イベントは、厚生労働省が「世界禁煙デー」(5月31日)および「禁煙週間」(5月31日~6月6日)の一環として、国民の生活習慣を見直し、健康寿命の延伸を目指す「スマート・ライフ・プロジェクト」(2011年開始)の一環として実施されました。2025年の禁煙週間のテーマは「受動喫煙のない社会を目指して ~私たちができることをみんなで考えよう~」でした。
イベント概要
イベントでは、世界における禁煙・受動喫煙対策や若者のたばこに関する意識をテーマとしたシンポジウムが開催されました。登壇者は、松岡 輝昌氏(厚生労働省健康・生活衛生局健康課長)、中村 正和氏(公益社団法人 地域医療振興協会 地域医療研究所へき地研究センター アドバイザー)、平野 公康氏(大阪経済大学 人間科学部 人間科学科 教授)、ハリー杉山氏(タレント)、そして各国の留学生らでした。
イベント内容詳細
松岡輝昌氏は、イベント冒頭で「健康日本21(第三次)」について説明しました。高齢化の進行と生活習慣病の増加という課題を挙げ、1978年から続く「国民健康づくり運動」の歴史と、その流れを汲む「健康日本21」の目標である「健康寿命の延伸」と「健康格差の縮小」を説明しました。その達成のためには、個人の行動と健康状態の改善、社会環境の質の向上、ライフコースアプローチを踏まえた健康づくりが必要だと強調しました。喫煙は、運動・栄養・睡眠と並ぶ重要な改善対象であり、20歳以上の喫煙率を14.8%から12%に、20歳未満の喫煙率を0.6%から0%に引き下げる目標が示されました。そのためには、行政・医療機関・地域社会が連携した禁煙支援体制の整備が不可欠であると述べました。
中村正和氏は「Tobacco freeが切り開く持続可能な社会」と題し、2019年の統計に基づき、喫煙関連死の現状(年間19万人以上)、受動喫煙による年間死亡者数(約1万5千人)を紹介しました。さらに、喫煙による経済的負荷(労働損失、医療費増加、企業イメージ悪化)や環境問題(森林破壊、CO₂排出、水資源の枯渇)にも触れ、「たばこ対策はSDGsの複数の目標に直結する」と強調し、政策・企業・個人の連携による総合的な推進の重要性を訴えました。
パネルディスカッションでは「受動喫煙の実現するために、私たちができること」をテーマに議論が行われました。留学生からは出身国のたばこ対策が紹介され、世界から見た日本の現状と課題、禁煙・受動喫煙のない未来の社会モデルについて話し合われました。
ハリー杉山氏は、自身の禁煙のきっかけを「肺の中を映した映像を見たこと」と述べました。平野公康氏は、海外からの若い人たちと議論することの重要性と、たばこの煙のない環境づくりへの取り組みの必要性を強調しました。留学生であるMingxin Liu氏、Jeffry Sudirgo氏、Luisa Maria Gomez Pinto氏からは、日本の禁煙施策を学び、自国での展開に繋げたいという発言がありました。
イベント概要(再掲)
- 日時:2025年5月31日(土)13:00~15:00
- 会場:大阪・関西万博テーマウィークスタジオ(大阪府大阪市此花区・夢洲)
- 内容:女性の健康を支える地域・社会の役割:誰一人取り残さない健康づくりの実現に向けて
- 主催:厚生労働省/スマート・ライフ・プロジェクト
- 共催:厚生労働省、公益社団法人日本医師会、公益社団法人日本歯科医師会、公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人日本看護協会、国立研究開発法人 国立がん研究センター
- 後援:文部科学省、人事院、警察庁、こども家庭庁、大阪府、健康日本21推進全国連絡協議会
- 出演:松岡 輝昌(厚生労働省健康・生活衛生局健康課長)、中谷 祐貴子氏(WHO事務局長補)※ビデオメッセージ、中村 正和氏、平野 公康氏、ハリー杉山氏、玉川 恵(総合司会者)、留学生3名
イベントの様子は、後日特設サイトおよび公式YouTubeアカウントにて公開予定と発表されました。
スマート・ライフ・プロジェクトについて
「健康寿命をのばそう!」をスローガンに、国民全体が人生の最後まで元気に健康で楽しく毎日が送れることを目標とした国民運動です。
2025年WHO世界禁煙デーのテーマ
Unmasking the Appeal:Exposing Industry Tactics on Tobacco and Nicotine Products
まとめ
「世界禁煙デー記念イベント2025 in EXPO」では、関係者による講演やパネルディスカッションを通して、受動喫煙のない社会の実現に向けた取り組みが共有されました。 健康寿命の延伸、そしてSDGsの達成にも繋がる重要な課題である禁煙・受動喫煙対策への意識向上に貢献するイベントとなりました。
