大阪・関西万博:ドバイ文化芸術庁が開催した建築シンポジウム「アリーシュ構造」

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ドバイ文化芸術庁、大阪・関西万博にて建築シンポジウムを開催

2025年5月20日(火)~21日(水)、ドバイ文化芸術庁(Dubai Culture and Arts Authority)は、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)において、「アリーシュから広がる建築の可能性」をテーマとしたシンポジウムを開催しました。UAEパビリオンの協力のもと開催された本シンポジウムは、UAEの文化・創造産業の発展と世界におけるプレゼンス向上を目指し、ドバイ・クオリティ・オブ・ライフ戦略2033の一環であるドバイ文化助成プログラムの支援を受けて実施されました。

シンポジウムは、UAEパビリオンのテーマ「大地から天空へ」に沿った初のキュレーション型シンポジウムとして企画され、UAEにおける建築を題材に、地域特有の設計手法や素材の刷新、日本をはじめとする各国との地域間交流について議論されました。都市づくりにおける伝統的な知識の重要性や、ヤシの葉で家を作る「アリーシュ構造」といった環境や文化に配慮した設計手法の意義についても考察されました。

シンポジウムは、SWALIF Collective創設者でMamarLab共同創設者のサレム・アルスワイディ氏と、MABNAI創設者で同じくMamarLab共同創設者のラシッド・アルムッラ氏によって監修され、遺産・持続可能性・デザインをテーマとする10のセッションで構成されました。

各セッションの概要

No セッションテーマ 概要
1 文化の融合 ~日本の建築が湾岸地域へ与えた影響~ ARCHIDENTITYによる研究を基に、1940年代から1970年代にかけての日本における現代建築の進化と、中東地域の美的感覚に及ぼした影響を紹介。
2 近代の建築物からみる伝統と現代へのつながり UAEにおける近代の建築が、地域に根ざした伝統的な建築様式からどのように着想を得たかを分析。
3 建築実務の形成~業界における課題と好機~ 市場プレッシャー、変化する都市開発の方針、多様化するクライアントの期待といった環境下で、建築家たちがデザインスタジオを立ち上げ、持続的な運営をしていくための戦略を紹介。
4 土地の力を引き出す~敷地に応じた設計と施工の進め方~ その場所ならではの環境や文化、使う素材の特性に合わせて設計をすることによって、いかに建築実務が豊かになるかの理解を深める視点を共有。
5 UAEにおけるデザイン学習の教授法 ザイード大学のリナ・アフマド氏およびマルコ・ソーサ氏が主導する「LIMASS」といった取り組みが、いかにして伝統的な仕組みや地域の資源を活用し、新たな持続可能性を創り出しているかを解説。
6 UAE文脈に見る日本建築 建築を”文化をつなぐ手段”としてとらえ、日本の建築家 村山剛志氏の作品とUAEのアハメド・ブハシュ氏とアハメド・アル・アリ氏の作品とを対比し、両者の美意識や考え方がどのように交差しているかに関する考察を展開。
7 UAEにおけるヤシの葉の家「アリーシュ」からヴィラへの転換 文化的価値観の変化、使用される建築材料の進化、環境への適応方法の変化、そしてそれらの変化によって人々の住まいの作り方がどのように変わったかを、アリーシュと呼ばれるヤシの葉で作られた家から現代的なヴィラへの移り変わりをもとに紹介。
8 灌漑システム~水は命の源~ 何世紀にもわたってこの地域の農業や定住生活を支えてきた、環境にやさしく、持続可能なアフラジ灌漑システムの精巧な設計と、地域社会による共同管理の仕組みについて解説。
9 パビリオンの先駆 ~壮大な空間への革新的なアプローチ~ 持続可能性とサーキュラーエコノミーの原則が、UAEにおける大規模プロジェクトの再定義にどのように活用されているか、特に地域で調達可能な素材を活用することに焦点が当てられ、より環境に配慮した空間づくりへの取り組みについて説明。
10 ドバイの歴史的街区の再構築~課題と好機~ ドバイ・カルチャーによる文化遺産の再生事例が紹介され、特にUAE最大の遺産博物館「アル・シンダガ博物館」が整備、口述歴史の記録を通じて伝統的な地区を文化拠点へと再生によって取り組まれたことを紹介。

ドバイ文化芸術庁の代表団は、大阪・関西万博で各国のビジョンや創造的なコンセプトを探るため、サウジアラビア、バーレーン、カタール、フランス、北欧諸国(ノルウェー、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、アイスランド、フェロー諸島、グリーンランド、オーランド)、韓国、ドイツ、オマーン、シンガポール、女性パビリオンなどの国際パビリオンを訪問しました。

さらに、UAEを拠点とする建築家・クリエイティブ専門家12名を対象に、大阪および周辺エリアの主要な建築物や文化施設を巡る視察ツアーも実施されました。視察先は、国立国際美術館、朝日放送本社ビル、梅田スカイビル、チームラボ ボタニカルガーデン 大阪、グラングリーン大阪、京都府立陶板名画の庭、兵庫県立美術館、本福寺 水御堂、淡路夢舞台などです。

参加者

ドバイ文化芸術庁代表団:

  • 長官 ハラ・バドリ閣下
  • 芸術・デザイン・文学部門CEO シャイマ・ラシェド・アル・スワイディ
  • プロジェクト・イベント部門ディレクター クルード・クーリー
  • マーケティング・コーポレートコミュニケーション代理ディレクター サラ・アル・パチャチ
  • コレクション部門マネージャー マリヤム・ムザファー・アフリ
  • ほか

視察ツアー参加者 (計12名):

  • Expo 2020ドバイ「The Good Place」パビリオン デザイナー 兼 Archidentity創設者 アハマド・ブカッシュ氏
  • UAE文化省 文化遺産法制・政策課長 ファティマ・アルスワイディ氏
  • X-Architects創設者 アハメド・アル・アリ氏
  • D04 Studios共同創設者 ファティマ・アルザービ氏
  • D04 Studios共同創設者 ヌーラ・アルアワー氏
  • MULA Design Studio創設者 アブダラ・アルムッラ氏
  • ザイード大学サステナブルデザイン学部准教授 リナ・アハメド氏
  • オマーン住宅都市計画省 都市計画官 レイス・アルシェヤディ氏
  • R. Qticets Studio創設者 リーム・アル・カムジ氏
  • Rakan Lootah Studio創設者 ラカン・ルータ氏
  • Köda所属建築家 ハマド・アルムタワ氏
  • ドバイ道路交通局 エンジニア モハマド・サレム・アルシャフィエイ氏

シンポジウムの模様は、ドバイ文化芸術庁Instagramから閲覧可能です。

ドバイ文化芸術庁について

ドバイ文化芸術庁は、ラティファ・ビント・モハメド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム殿下のリーダーシップの下、UAEの豊かな文化遺産を基盤に、ドバイの文化シーン活性化に取り組んでいます。文化間の建設的な対話を促進し、ドバイを「世界の文化都市」「創造性のインキュベーター」「才能あふれるハブ」としての地位向上を目指しています。2020年から2025年にかけての戦略ロードマップに基づき、歴史的遺産の復興と保存、文化・創造産業分野における規制枠組みの整備などに注力しています。

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