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大阪・関西万博:Booking.comが語る旅館業の未来とAI活用

ブッキング・ドットコム、大阪・関西万博 オランダパビリオンにてシンポジウム「オーセンティックジャパン」を開催

2025年5月22日、世界最大級のデジタルトラベルプラットフォーマーであるBooking.comは、大阪・関西万博のオランダパビリオンにおいて、シンポジウム「オーセンティックジャパン」を開催しました。全国の旅館施設関係者80名以上を招待し、旅館業界が抱える課題と展望、AIが変える旅館の未来について議論するイベントとなりました。

本シンポジウムは、オランダパビリオンの公式プログラム「コモングラウンド(共創の礎)」の一環として開催され、日本の観光業、旅館業への支援を目的としています。観光復興と地域経済活性化を背景に、ブッキング・ドットコムのグローバルネットワークと最先端テクノロジーを活用した、地域宿泊事業者への価値提供を提示する場として企画されました。

ブッキング・ドットコムのビジョンとサステナブルな旅行

開会挨拶では、ブッキング・ドットコムのアジア太平洋地域マネージング・ディレクター、ローラ・ホールズワースが同社のビジョンを発表しました。日本政府の「2030年までに訪日外国人旅行者を6,000万人に増やす」という目標達成に向け、政府や観光関連業界と連携し、有名観光地だけでなく地方地域への旅行者誘致を目指すと述べました。

ブッキング・ドットコムの「サステナブル&トラベル」調査によると、世界の旅行者の約80%が「本物の文化体験」、70%以上が「地域社会への貢献」を求めています。また、「旅行トレンド予測」調査では、約60%が「没入型のリトリート体験」に関心を持っていることが明らかになっています。

ホールズワースは、日本の文化、自然、温泉などの魅力を世界に発信することの重要性、そしてサステナブルな旅行の推進を強調しました。世界の旅行者の90%以上がよりサステナブルな旅行を求めていることを踏まえ、ブッキング・ドットコムは旅行業界のリーダーとして、文化的・環境的・社会的・経済的にサステナブルな旅行業界の実現を目指すと述べています。

生成AIが変える旅行体験と宿泊業の未来

ブッキング・ドットコム プロダクト部門 シニアディレクターのエイドリアン・エンギストは、旅行体験における最新のAI活用について発表しました。

従来の旅行プランニングとOTAの登場による変化、オーバーツーリズムの問題点を指摘した上で、近年増加している短い動画コンテンツを通じた旅行先発見の傾向を説明しました。

エンギストは、2022年から活用が始まった生成AI(GenAI)が旅行体験を変革すると述べました。インターネット上の情報に基づいた提案や多言語対応の検索結果を提供し、言語の壁を取り払い、秘境の発見も可能にすると説明しました。

ブッキング・ドットコムは、数ヶ月以内に、インターネットやSNSの動画に基づいた具体的なルートプラン提案機能などを含む新機能をリリース予定だと発表しました。この生成AIを活用した新機能は、ユーザーの希望に沿った旅行先提案や、複数の旅行先のスケジュール自動作成を可能にし、日本への導入も近い将来予定されています。

さらに、生成AIは宿泊施設にとっても重要な役割を果たすと述べました。宿泊施設の情報やカスタマーレビューなどを基に、AIが旅行者の質問に回答することで、宿泊施設への負担軽減と、より魅力的な旅行体験を提供できると説明しました。

パネルディスカッション:旅館の現在と未来

パネルディスカッションには、株式会社ホテルおかだ 常務取締役 営業部長の原 洋平氏と、株式会社油谷湾温泉ホテル楊貴館 取締役の岡藤 明史氏が登壇しました。

原氏は、自身の旅館における団体旅行比率の減少、OTA経由予約の増加、海外からの予約増加などを説明し、旅行スタイルや宿泊施設運営の変化を語りました。AI活用についても、集客における機械学習、チャットボット導入、情報収集・蓄積への活用などを紹介し、箱根DMOの取り組みについても言及しました。

岡藤氏は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた経験と、インバウンド需要の増加への対応について語りました。AI活用による客室状況のリアルタイム把握・最適化、多言語対応による顧客ニーズへの対応などを説明しました。

ゲスト登壇者が考える「旅館の未来」とオランダパビリオン

原氏は、日本人と海外旅行者の滞在スタイルの違い、長時間滞在型旅行の少なさなどを指摘し、ブッキング・ドットコムや地域との連携による日本のおもてなし文化の発信の必要性を述べました。

岡藤氏は、伝統を生かしてつなぐことの重要性、旅館を地域の魅力を伝えるショーケースと位置付け、OTA活用による地域の魅力発信の重要性を強調しました。

最後に、大阪・関西万博オランダ外務省のアイノ・ヤンセン氏は、オランダパビリオンの取り組み、「コモングラウンド(共創の礎)」というテーマ、循環型建築、日蘭関係、国際協働の必要性などを説明しました。

Booking.comについて

1996年アムステルダム設立。Booking Holdings Inc.の一員。「すべての人に、世界をより身近に体験できる自由を」を企業理念に掲げ、多種多様な宿泊施設と移動手段の予約プラットフォームを提供しています。

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