大阪・関西万博:ルーマニアパビリオンで小児用人工心臓のライブ3Dプリンティングを初公開
2025年6月21日、大阪・関西万博のルーマニアパビリオンにおいて、MAVIS Artificial Heartによる小児用人工心臓のライブ3Dプリンティングが一般公開されました。このイベントは、6月30日まで、同パビリオン内に設置された特別ラボにて開催されました。
この画期的な取り組みは、東大阪市の株式会社エムトピアと、世界的な3Dプリンティング企業であるFormlabsの全面的な支援によって実現しました。 Formlabsの最新鋭3Dプリンター「Form 4」を使用して、実際に医療現場での活用が期待される小児用人工心臓の製造工程が公開されました。 このデモンストレーションは、複雑な形状と高い精度が求められる医療機器製造において、3Dプリンティング技術がいかに貢献できるかを明確に示すものでした。
小児用人工心臓開発の現状と意義
小児用人工心臓は、先天的な心臓疾患を持つ子どもたちにとって、生命維持に不可欠な医療機器です。しかし、その小型化や患者の個々の状況に合わせたカスタマイズの難しさから、開発と製造には高度な技術とノウハウが求められてきました。
MAVIS Artificial Heartプロジェクトは、最先端技術と医療の融合により、これらの課題を克服し、より多くの子どもたちに希望を提供することを目指しています。今回のライブ3Dプリンティングは、その研究開発の進捗を世界に発信する重要な機会となりました。
関係各社の役割
株式会社エムトピアは、長年にわたって培ってきた精密加工技術とデジタルマニュファクチャリングにおける豊富な経験を活かし、本プロジェクトを強力にサポートしました。 一方、Formlabsは、高性能な3Dプリンティング技術と医療分野での豊富な実績を提供し、技術面での支援を行いました。
イベント概要
- 期間: 2025年6月21日(土)~6月30日(月)
- 場所: 大阪・関西万博 ルーマニアパビリオン内 特別ラボ
- 内容: MAVIS Artificial Heartによる小児用人工心臓のライブ3Dプリンティング
- 支援: 株式会社エムトピア、Formlabs
MAVIS Artificial Heartプロジェクトについて
MAVIS Artificial Heartは、ルーマニアのグリゴレ・T・ポパ医科大学における、重篤な心臓疾患を持つ小児向けの人工心臓開発プロジェクトです。小型で高性能な人工心臓の実現を目指しており、従来の限界を超える革新的な医療機器を提供することで、より多くの子どもの命を救い、生活の質を向上させることをミッションとしています。 最先端技術を用いて未来の医療を牽引し、持続可能な医療システムへの貢献を目指しています。
株式会社エムトピアについて
大阪・東大阪を拠点とする「なにわの試作屋」として知られる株式会社エムトピアは、創業50年以上の歴史を持つ老舗企業です。家電、自動車、医療機器など幅広い分野において、デザイン・試作から小ロット量産までを一貫して手掛けるものづくり企業です。長年培ってきた高度な技術と、3Dプリンティング、精密加工(切削、注型など)を含む多様な設備が強みであり、複雑な形状や高い精度が求められる試作品を、短納期・低コストで提供することで、クライアントの製品開発をトータルでサポートしています。
Formlabsについて
Formlabsは、高性能な3Dプリンターと関連材料を開発・提供する世界有数の企業です。2011年にMITの大学院生によって創業され、光造形(SLA)方式のベンチトップ型3Dプリンターで市場をリードしており、近年はSLS方式プリンターも展開しています。医療、歯科、製品開発、製造など多様な分野で活用されており、特に医療分野では手術用器具や解剖学的モデルの製造実績が豊富です。高品質な造形と豊富な材料ラインナップ、使いやすさが強みで、多くの企業や研究機関のイノベーションを支えています。
まとめ
大阪・関西万博のルーマニアパビリオンで開催された小児用人工心臓のライブ3Dプリンティングは、最先端技術による医療機器開発の進歩を示す象徴的なイベントでした。 株式会社エムトピア、Formlabs、そしてMAVIS Artificial Heartプロジェクトの協働によって実現したこの取り組みは、未来の医療に大きな可能性を示唆するものと言えるでしょう。 このイベントを通じて、3Dプリンティング技術が医療分野における革新を加速させることが期待されます。
