- RoomClip住文化研究所、トレンドレポート2025−2026を発表/1位は万博・レトロブームが支える「日本リバイバル」
住生活領域に特化したソーシャルプラットフォーム「RoomClip」を運営するルームクリップ株式会社は、「RoomClip住文化研究所トレンドレポート2025-2026」を発表した。このレポートは、投稿写真や検索キーワードなどのデータを基に、2025年の住まいと暮らしのトレンドや注目キーワードを選出したものである。
【RoomClip住文化研究所トレンドレポート概要】
当レポートは、RoomClipに投稿された実例写真と、写真に付与されたタグ、いいね、コメント、検索キーワードなどの膨大なデータを定量・定性的に分析し、その年の住まい・暮らし領域のトレンドを発表する取り組みである。
【レポート概要】
<キーワード一覧>
1位:日本リバイバル
2025年は、「日本」に改めて目が向けられた一年となった。大阪・関西万博という世界の文化が交差するイベントの開催、そしてさらなるインバウンドの増加。これらが相まって、「日本らしさ」への意識の高まりが、暮らしや住まいにも確かな影響をもたらしている。「日本リバイバル」とは、昭和・平成期の記憶やかたちを単に懐かしむのではなく、現代の暮らしに積極的に取り入れようとする動きである。和モダンやジャパンディといったインテリアスタイル、国産地域材の再評価など、複数の潮流が重なり合う複合的なトレンドといえる。その影響は、住空間からインテリア、そしてライフスタイルの細部にまで及び、今の日本をもう一度見つめ直す契機となっている。
2位:3畳私室
3畳前後の小さな個室への注目が高まっている。仕事、ゲーム、トレーニング、ペット用など、自身の趣味やライフスタイルに寄り添った一人時間を過ごすための「私室」。特定の活動に没頭するための「専用部屋」。あるいは寝るためだけと割り切った最小限の「寝室」——。広さは1畳から4畳程度と非常にコンパクトながら、活動に応じてカウンター、収納、遮音、照明、空調、電源などを最適化する工夫が随所に見られる。1台のテレビを家族で囲む時代から、スマホをはじめとした個人用デバイスの普及や趣味嗜好の多様化により、家族世帯であっても一人ひとりが異なる時間と空間を求める時代へ。用途に特化した、新しい個室のかたちが生まれている。
3位:複合冷房
日本各地で観測史上最高気温を更新した2025年の猛暑は、住まいの心地よさを追求する以前に、生命を維持するための対策を講じなければならない状況を生み出した。この経験は、夏の住まいのあり方を根本から見直す契機となっている。エアコンだけに頼る冷房から、複数の手段を組み合わせる「複合冷房」へ。窓際の遮熱カーテンや日除けシェード、断熱リフォームといった建築的対策に加え、サーキュレーターやスポットクーラー、さらには冷感寝具など身体周辺の冷却アイテムまで、多層的な組み合わせが進んでいる。電気代の高騰や環境への配慮もあり、複数の冷房手段を状況に応じて使い分ける、効率的で持続可能な夏の暮らしが模索されている。
4位:推し壁
壁面を活用した「推し活」スペース。ウォールシェルフとグッズ1つから始められる手軽さが背景にあります。限られた居住空間でも、グッズの収集・配置換えを楽しみながら、垂直面に“好き”を表現する進化型コレクション空間である。
5位:スマート防犯
防犯意識の高まりが、日本のスマートホーム化を加速させた。カメラやスマートロック等のIoT機器が、防犯のみならず子供の見守りや置き配対応など、暮らしの多目的インフラとして定着しつつある。
6位:リビング再編
「テレビとソファ」という定型からの脱却が始まっている。家族共有の場でありながら、学習や推し活など個別の活動ができるコーナーを設けるなど、空間を多機能に編集する動きが急増。家族が同じ空間で異なる時間を過ごす形へ変化している。
7位:ジェスモナイト
水性アクリル樹脂素材を使ったトレイやオブジェ作りが人気。好みの色や模様を生み出すプロセスや、デジタル時代における「手を動かす没入感」が支持されている。タイパ重視の日常に対するデトックス的な趣味としても注目されている。
8位:丸テーブル
従来の長方形に代わり採用が急増。住宅面積の縮小傾向に対し、動線を確保しやすく空間を広く使える点が評価されている。角がなく子供に安全な点や、家族間の心理的な距離を近づける効果も支持される理由である。
9位:自給系家庭菜園
物価高騰を背景に、節約や食の安全を求めて家庭菜園を始める人が増加。趣味としてだけでなく、実益や収穫量を重視した「家計を支える取り組み」として、暮らしの中での重要度が増している。
10位:生成AIインテリア
生成AIで自宅のインテリア変更をシミュレーションする動きが台頭。一般生活者が理想の空間を可視化できるようになった一方、対照的に「人が住むリアルな実例写真」の価値も再認識され始めている。
※詳細は特設ページをご覧ください
◾️総評 2025年の総括・2026年への展望
- 背景:積み重なる変化が生んだ「住まいの再構成」
3畳私室やリビングの小さなコーナーづくり、推し壁に象徴されるように、住まいは個人の時間・活動・好みを起点に変化する時代に入っている。この変化は2025年に突然現れたわけではなく、ここ十数年で積み重なってきた社会の動きが、着実に住まいの形に表れた結果である。背景にはいくつかの大きな流れがある。まず、世帯人数の減少やライフスタイルの多様化により、家族が常に同じ空間・同じ時間を共有するという前提がゆるやかに解け始めた。そこに、住宅価格の高騰と住宅面積の縮小が重なり、限られたスペースを自分にとって最適な形に編集する必然性が高まった。さらに、スマートフォンの普及により余暇時間の過ごし方もパーソナル化へと向かい、一人ひとりが異なる時間と空間を求めるようになった。
- 現状:点在し始めた「個の空間」
こうした背景が複合的に作用した結果、2025年の住まいでは、1〜4畳のミニマムな私室、壁一面を趣味で満たす推し壁、リビングの隅に生まれる作業・ワーク・ゲーム・推し活コーナー、そして過去のレポートで紹介したヌックやソロソファなど、家のあちこちに個の空間が立ち上がる風景が当たり前になりつつある。小さくてもそこには、生活者それぞれがひとりの時間を豊かにする工夫が凝縮されている。用途に特化した空間設計、後から拡張できる柔軟性、そして何より「自分のための居場所」を持つことの価値——。住まい全体の広さよりも、こうした質的な豊かさが重視される時代へと移行している。
3.展望: 「個」を尊重しながら、ゆるやかにつながる住まい
一方で、個を尊重する動きが強まるほど、家族がどうつながるかという新たな課題も浮かび上がる。丸テーブルのように自然と集まりやすい家具を選ぶ、ワーク&スタディカウンターを横並びで共有する、個室に室内窓を設けて気配をつなげる——。生活者は、「個が快適でありながら、ゆるやかにつながりを保てる住まい」を模索しながら、空間のバランスを取ろうとしている。こうして見ると、今後の住まいは、個の世界が点在する家へと進化しつつ、同時に”家族として何を共有するのか”を調整しながら再編が進む時代に入ったと言える。画一的な正解はなく、各世帯が最適なバランスを探る——それが現代の住まいづくりの本質である。現代のライフスタイルに合わせて住まいの当たり前がゆっくりと更新されていく潮流の中で、この流れは2026年以降も続き、さらに多様な住まいの形が生まれていくと考えている。
【特設サイト】
・公開日:2025年12月3日(水)10:00
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【過去のトレンドレポート】
当社では2014年より1年間のトレンドをまとめた情報を毎年発信している。
※2016年〜2023年までは「RoomClip Award」として、今回のレポートと同様、キーワード形式でトレンド情報や未来予測を発表。
ルームクリップ株式会社は、住生活の領域に特化したソーシャルプラットフォーム「RoomClip」の企画・開発・運営などを行っている。



