TOPPAN、2025年大阪・関西万博で紙おむつのリサイクルを実施
2025年4月13日~10月13日、大阪・関西万博会場で実施された画期的な紙おむつリサイクル実証実験
TOPPAN株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:齊藤 昌典)は、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)において、会期中、会場内で発生する使用済み紙おむつの回収とリサイクルを行う実証実験を実施しました。本取り組みは、高齢化社会における紙おむつ排出量の増加という社会問題への対応、そして資源リサイクルの重要性を社会に発信することを目的として行われました。
万博会場での紙おむつリサイクル:実証実験の概要
実証実験では、万博会場内の休憩所やトイレなど11ヶ所(予定)に回収ボックスを設置し、使用済み紙おむつを回収しました。回収された紙おむつはリサイクル工場でパルプとプラスチックに分別され、遊具やシェルフ、さらにはおむつ回収ボックス自体などへとアップサイクルされました。回収からリサイクルまでの一貫工程を実証することで、その重要性を国内外の多くの来場者に示すことを目指しました。
実証実験の背景:増加する紙おむつ廃棄物と持続可能性
環境省令和5年「使用済紙おむつの再利用等の促進プロジェクト検討結果とりまとめ」によると、紙おむつの排出量は高齢化社会の影響で増加傾向にあり、一般廃棄物に占める割合は2020年度の5.2~5.4%から、2030年には6.6~7.1%程度に増加すると推定されています。現在、ほとんどの紙おむつが焼却処理されている現状において、2020年に環境省が定めた「使用済紙おむつの再生利用等に関するガイドライン」に沿ったリサイクルの推進は喫緊の課題となっています。
紙おむつのリサイクルには、排出者(事業者・一般市民)の意識改革、処理者(自治体・企業)の費用捻出・用地取得、リサイクル者(企業)の技術確立と販売という3者の協力と理解が不可欠です。万博会場での実証実験は、この3者連携の重要性を広く啓発する場となりました。TOPPANは、自治体や協業企業と連携し、環境省が推進する使用済み紙おむつの再生利用の取り組みを拡大し、省資源と紙おむつのライフサイクル全体でのCO2削減に貢献することを目指しています。
実証実験の詳細:インタラクティブな回収箱とアップサイクル製品
回収箱には、環境啓蒙映像を投影するサイネージを組み込んだTOPPANのインタラクティブゴミ箱「PoyPort®︎」を一部で使用しました。全ての回収箱は、人目を引く分かりやすいデザインを採用することで利用を促しました。さらに、これらの回収箱は、過去に回収された紙おむつからリサイクルしたプラスチック材料を混練した素材で製造されました。
回収された紙おむつの保管には、酸素・水蒸気のバリア性能が高いTOPPANのバリアフィルム「GL BARRIER」を使用した保管用袋を使用し、臭気対策を行いました。
アップサイクルされた製品は、万博会場内の複数のパビリオンに設置されました。具体的には、住友館(会場内の警備室の床)、大阪ヘルスケアパビリオン(みんなのトイレ(InclusiveToilet)の装飾)、その他1棟(構造部の壁(外壁材試作品))です。
さらに、紙おむつを多く排出する保育園や病院に対し、実証実験で製造されたアップサイクル製品である遊具、シェルフ、回収ボックスを寄付し、紙おむつリサイクルの認知向上を図りました。
回収箱設置期間は2025年4月13日(日)から2025年10月13日(月)まで、場所は2025年日本国際博覧会会場内の休憩所やトイレなど11ヶ所(予定)でした。
TOPPANの紙おむつリサイクルへの取り組みと今後の目標
TOPPANは、「DX&SX」の取り組み強化を通じて、「社会的価値創造企業」の実現を目指しており、2020年に策定した「TOPPAN Business Action for SDGs」において、サステナビリティの重点課題として【安全安心で豊かなまちづくり】を掲げています。2020年4月からは、トータルケア・システム、住友重機械エンバイロメントとの3社で、使用済み紙おむつから回収できるすべての再生資源をマテリアルリサイクルする「完結型マテリアルリサイクルシステム」の構築と社会実装に向けた事業展開に関する協議を開始しています。
今後は、自治体・リサイクル会社やおむつに関わる事業者と連携し、使用済み紙おむつ回収スキームとリサイクル製品の高度化を図るとともに、リサイクル設備の導入・運営を支援していきます。また、自治体や企業に対し、アップサイクル製品・材料の使用促進・拡販を行うことで、持続可能な社会の実現に貢献していくとしています。
環境省の取り組み
環境省は、自治体・企業における使用済紙おむつの再生利用等の取組を更に拡大させ、2030年度までに実施・検討を行う自治体の総数を150自治体と宣言しています。
まとめ
TOPPANは、2025年大阪・関西万博を舞台に、紙おむつリサイクルの実証実験を成功裏に実施しました。この取り組みは、高齢化社会における紙おむつ廃棄物問題への積極的な取り組みであり、持続可能な社会の実現に向けた重要な一歩となりました。 多様な関係者との連携を通して、リサイクル技術の高度化と社会実装を進め、環境保全への貢献が期待されます。


