航空自衛隊ブルーインパルス、国産SAFによる歴史的飛行を大阪・関西万博で実現
2025年4月13日、大阪・関西万博の開幕日、航空自衛隊ブルーインパルスが、国内初の大規模生産による国産SAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)を使用した展示飛行を行いました。このSAFは、コスモエネルギーグループが供給したもので、同グループにとって初のSAF供給事例となります。
コスモエネルギーホールディングス株式会社グループのコスモ石油マーケティング株式会社は、関西国際空港において、ブルーインパルスに国産SAF由来のISCC認証に基づく環境価値を付与した航空燃料を供給し、サステナブル証明書を提供しました。正午頃に行われた万博会場上空での展示飛行は、大規模生産された国産SAFを利用した初のフライトとなりました。
今回使用されたSAFは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「国産廃食用油を原料とするSAF製造サプライチェーンモデルの構築」助成事業として開発されたものです。コスモ石油株式会社、日揮ホールディングス株式会社、株式会社レボインターナショナルの3社により設立された合同会社SAFFAIRE SKY ENERGYが製造を担当し、コスモエネルギーグループを通じてブルーインパルスへの供給が実現しました。 SAF製造プラントは大阪府堺市のコスモ石油堺製油所内に設置されています。
このSAFは、「ISCC CORSIA認証」「ISCC EU認証」を取得しており、国際的な持続可能性認証基準を満たしています。マスバランス方式により、環境価値を持つ原料の投入量に応じて製品に環境価値を割り当てています。
コスモエネルギーグループは「2050年カーボンネットゼロ」を目指し、日本初となる国産SAFの供給に向け、サプライチェーンの構築を進めてきました。また、SAF原料の再利用を目的とした、サービスステーションでの廃食用油市民回収実証も継続的に展開しています。
今回のブルーインパルスの展示飛行は、国産SAFの導入を推進する日本において象徴的な取り組みであり、SAFの普及拡大、ひいては脱炭素社会実現に向けた機運向上に貢献することが期待されます。 世界の注目が集まる大阪・関西万博の開幕日に、国産SAFを利用したブルーインパルスの展示飛行が成功裏に終了したことは、日本の持続可能な航空燃料利用の大きな一歩となりました。
関係各社のコメント
コスモ石油マーケティング株式会社 代表取締役社長 高山 直樹氏は、「SAFは当社が持つ脱炭素商材の一つとして、空の脱炭素につながる重要な商品です。このたび大阪・関西万博の開幕を飾るブルーインパルスの展示飛行にて、コスモエネルギーグループが地元大阪・堺製油所において生産、供給したSAFが利用されることを大変うれしく思います。この展示飛行を通して、本万博のテーマである『いのち輝く未来社会のデザイン』をより身近に感じてもらえる契機となることを期待しております。今後とも、本取り組みをはじめとしてSAFを活用した脱炭素社会の実現を後押ししてまいります。」と述べています。
SAFFAIRE SKY ENERGY 代表 高田 岳志氏は、「2021年より本邦政府、経済産業省資源エネルギー庁、NEDOのご支援を賜り、コスモ石油株式会社、日揮ホールディングス株式会社、株式会社レボインターナショナルと事業化を進め、”ACT for SKY”や”Fry to Fly”などの活動により、国内資源循環の大きなうねりを作り出した結果が結実したものと関係された皆様に感謝申し上げます。今回大阪・関西万博の開幕を飾るブルーインパルスの展示飛行に、当社が生産したSAFをご利用いただくことにも併せて感謝申し上げるとともに、脱炭素社会の実現および資源の乏しい日本のエネルギー安全保障強化に資する取り組みとして、今後長期に亘るSAFの安全操業・安定供給に努めてまいります。」とコメントしています。
ブルーインパルスについて
航空自衛隊の存在を多くの人々に知ってもらうために、航空祭や国民的行事などで華麗なアクロバット飛行(展示飛行)を披露する専門チームです。正式名称は、宮城県松島基地の第4航空団に所属する「第11飛行隊」で、青と白にカラーリングされた機体が特徴です。
注記
- 国際認証制度(ISCC認証)に基づくマスバランス方式とは、環境価値を持つ原料とそれ以外の原料が混合された場合に、環境価値を持つ原料の投入量に応じて、製品の一部または全部にその価値を割り当てる手法です。
この展示飛行は、日本の持続可能な航空燃料開発における重要なマイルストーンであり、今後のSAF普及に大きな影響を与えるものと期待されています。

