大阪万博でサステナブルなベンチ「HOTABENCH」が公開 – ホタテ貝殻をアップサイクルした革新的デザイン
2025年4月13日、大阪・関西万博の「フューチャーライフビレッジ」エリアにて、TBWA HAKUHODO、甲子化学工業株式会社、清水建設株式会社が共同開発したサステナブルなベンチ「HOTABENCH(ホタベンチ)」の展示が開始されました。特設サイトも公開されています。
HOTABENCHは、水産系廃棄物であるホタテ貝殻を再利用した、環境に配慮したベンチです。約1,000枚もの廃棄貝殻をリサイクルし、3Dプリント技術を用いることでCO2削減にも貢献しています。 これまでにTBWA HAKUHODOは、ホタテ貝殻のアップサイクルとして「HOTAMET」、「HOTATETRAPOD」、「HOTASCOOP」などを開発・販売しており、今回のHOTABENCHはこれらの取り組みをさらに発展させたものです。 万博会場での展示を通して、来場者に廃棄貝殻の現状とアップサイクルの可能性を伝えることを目的としています。ベンチのコンセプトは「万博会場で、安らぎをあたえるベンチ」です。
HOTABENCHの特徴
HOTABENCHは、以下の3つの特徴を持っています。
特徴.1|ベンチ1台あたり、40kgのホタテの廃棄貝殻を使用
ベンチに使用される砂の一部(40kg)を、ホタテの廃棄貝殻に置き換えています。
特徴.2|約300kgのCO2を削減
コンクリートを100%使用するベンチと比較して、約300kgのCO2削減を実現しています。これは、貝殻由来の素材を使用していることと、型枠を作らない3Dプリンターによる製造によるものです。
特徴.3|自然が生み出した資源循環デザイン
バイオミミクリー(生物模倣)に基づき、ホタテの構造を模倣した特殊なリブ構造を採用しています。 大型3Dプリンターによる製造時に生じるしま模様「積層痕」を意図的に残すことで、自然な仕上がりを実現しています。
開発者コメント
清水建設 生産技術本部 小川 達也氏は、HOTABENCHの開発について次のようにコメントしています。
「HOTABENCHは、清水建設が開発した建設用3Dプリンティング技術を活用して作られたベンチです。従来の型枠による施工と異なり、3Dプリンターを使うことで、自由でユニークなデザインが可能になりました。 建設用3Dプリンティングに適した繊維補強モルタル「ラクツム」を使用することで、砂の代わりにホタテの貝殻を原料として利用できるようになりました。今回のベンチには、北海道猿払村のオホーツク海沿岸で採れたホタテの貝殻に加え、新たに北海道・内浦湾および青森県・陸奥湾で育ったホタテの貝殻も使用しています。素材の特性が微妙に異なるため、理想的な配合比率を見つけるには多くの試行錯誤が必要でした。」
TBWA HAKUHODO Art Director 松田 健志 コメント
TBWA HAKUHODO Art Directorの松田 健志氏は、HOTABENCHのデザインについて次のようにコメントしています。
「「HOTAMET」「HOTATETRAPOD」に次ぐ、第三弾「HOTABENCH」はHOTAシリーズ初となる3Dプリンタでの制作となりました。通常3Dプリンタで出力されたプロダクトには特有の積層痕が残ります。大抵はその溝部分を削り落として滑らかにしてプロダクトとしての美しさを担保していきますが、今回はこの積層痕がホタテ貝殻のリブ構造の表現とマッチしたことで、敢えて残す選択肢を取りました。もちろん椅子としての座り心地にも影響してくるため、鋭利な部分は削り、機能性は保ちつつも、見た目だけでなく、肌で感じられるホタテのベンチを目指しました。全体のシルエットとしてもホタテの形状を模したベンチになっており、重厚さや冷たさを感じさせない、子供にも親しみやすく、安らぎのあるデザインになっています。」
HOTABENCH製造プロセスツアー
HOTABENCHの製造プロセスを体験できるツアーが、清水建設および甲子化学工業の協力のもと、東京と大阪の2か所で開催予定です。東京では清水建設のイノベーション施設「温故創新の森 NOVARE」にて、大阪ではホタテの貝殻を活用したモノづくり体験が提供されます。詳細は後日ウェブサイトで公開されます。
TBWA HAKUHODOスタッフリスト
Senior Creative Director 宇佐美 雅俊 Head of Design 伊藤 裕平 Art Director 松田 健志 Designer 砂田 肇 PR Planner 橋本 恭輔 PR Planner 加藤 卓 Producer 阪元 裕樹 Producer 今泉 智行
TBWA HAKUHODOについて
2006年設立の総合広告会社。博報堂とTBWAワールドワイドのジョイントベンチャーです。「生活者発想」「パートナー主義」と「DISRUPTION®︎」メソッドを融合し、クライアントのビジネス成長に貢献しています。
まとめ
大阪万博で展示されているHOTABENCHは、ホタテ貝殻のアップサイクルと3Dプリント技術を融合した、サステナブルなベンチです。そのユニークなデザインと環境への配慮は、万博のテーマにも合致しており、来場者に強い印象を与えるものとなっています。 製造プロセスツアーも予定されており、より深くHOTABENCHの取り組みを知ることができる機会が提供されます。


