ビフィズス菌BB536とラクチュロースを含むシンバイオティクスヨーグルトが整腸作用に加えて、心の健康度や労働パフォーマンスを改善することが明らかに：2025年最新研究報告

森永乳業株式会社は、50年以上にわたりビフィズス菌と腸内フローラの研究に取り組んでいます。2025年日本国際博覧会（大阪・関西万博）の「大阪ヘルスケアパビリオン」にも出展予定です。

国際的なオンライン学術誌『Gut Microbes Reports』に掲載された神戸実証研究の結果

2023年11月、「TEAM EXPO 2025」プログラム／共創チャレンジに登録された神戸実証研究は、京都府立医科大学の内藤裕二教授監修のもと、株式会社メタジェンと共同で行われました。この研究では、ビフィズス菌BB536とラクチュロースを含むシンバイオティクスヨーグルトを4週間摂取することで、整腸作用に加え、心の健康度や労働パフォーマンスが改善されることが明らかになりました。さらに、ビフィズス菌が産生する代謝物質が、労働パフォーマンスの改善に関与している可能性も示唆されました。

1. 研究背景：プレゼンティーズム問題への新たなアプローチ

腸内環境は、身体と精神の健康に密接に関連しており、プレゼンティーズム（出勤はしているものの、心身の健康問題によりパフォーマンスや生産性が低下している状態）の問題解決に繋がる可能性があります。本研究では、ビフィズス菌BB536とラクチュロースを含むシンバイオティクスヨーグルトの摂取が、心の健康度やプレゼンティーズムに与える影響を調査しました。試験参加者は、神戸ヘルス・ラボのヘルスケア市民サポーターから募集されました。

2. 研究概要：健康な成人男女206名を対象とした単群オープン試験

対象者: 健康な成人男女206名（神戸ヘルス・ラボのヘルスケア市民サポーター）
試験デザイン: 単群オープン試験
期間: 2023年9月～2023年11月（摂取期間4週間）
内容: ビフィズス菌BB536（20億個）とラクチュロース（4g）を含むシンバイオティクスヨーグルトを4週間毎日摂取。排便状況、心の健康度、プレゼンティーズムへの影響を調査。腸内細菌叢と腸内細菌が産生する代謝物質の分析も行いました。
心の健康度評価: 世界保健機関（WHO）が開発した、心の疲労度および心の健康度に関する質問票の日本語版を使用。
プレゼンティーズム評価: WHOが開発した、健康と労働パフォーマンスに関する質問票（短縮版）の日本語版を使用。絶対的プレゼンティーズムスコアと相対的プレゼンティーズムスコアの2つの指標を評価。
ラクチュロース: 牛乳に含まれる乳糖を原料として作られる難消化性のオリゴ糖

3. 研究結果：排便状況、心の健康度、労働パフォーマンスの改善

4週間のシンバイオティクスヨーグルト摂取により、以下の結果が得られました。

① 排便状況、心の健康度、プレゼンティーズムの改善: 排便回数と排便量の増加、便性状の改善、心の健康度の上昇、プレゼンティーズムスコアの向上（労働パフォーマンスの改善）が認められました。
② 腸内のビフィズス菌および有用物質であるインドール-3-乳酸の増加: 腸内において、ビフィズス菌と有用物質であるインドール-3-乳酸（ILA）の増加が確認されました。ILAはビフィズス菌が産生する物質で、脳機能の改善や免疫システムの強化に繋がると考えられています。
③ 腸内のビフィズス菌、インドール-3-乳酸、プレゼンティーズムの関連性: ビフィズス菌、ILA、絶対的プレゼンティーズムスコア間に正の相関が認められました。これは、ビフィズス菌が産生したILAなどの代謝物質が、労働パフォーマンスの改善に寄与している可能性を示唆しています。

4. まとめ：生活の質向上への貢献と今後の展望

ビフィズス菌BB536とラクチュロースを含むシンバイオティクスヨーグルトの摂取により、排便状況、心の健康度、労働パフォーマンスの改善が確認されました。ビフィズス菌が産生する代謝物質が、労働パフォーマンスの改善に関与している可能性も示唆されました。森永乳業は、今後も外部機関や有識者との連携を強化し、ビフィズス菌の研究を推進することで、人々の健康に貢献していきます。

内藤裕二教授（京都府立医科大学）のコメント:

現代社会におけるプレゼンティーズムの問題と、ウェルビーイングに貢献する研究の重要性を強調。本研究が、心の健康度や労働パフォーマンスの向上に寄与することを明らかにしたと述べています。ビフィズス菌が産生するILAが、脳機能の改善や免疫システムの強化に繋がり、ストレスや不調への解決策となる可能性を示唆しています。

福田真嗣氏（株式会社メタジェン代表取締役社長CEO）のコメント:

腸内細菌叢と全身の健康の関連性を強調。本研究で、シンバイオティクスヨーグルト摂取が、排便状況だけでなく、心の健康度や労働パフォーマンスにも影響を与えることが明らかになったと述べています。今後、ILAなどのアミノ酸代謝物質が、心の健康度や労働パフォーマンスに与える影響の分子機構解明を目指すとしています。

論文掲載情報:

「Synbiotic combination of Bifidobacterium longum BB536 and lactulose improves the presenteeism of healthy adults associated with aromatic lactic acids – A single-arm, open-label study」 Riko Mishima, Ryuta Ejima, Satoshi Arai, Ayako Horigome, Eri Mitsuyama, Hiroki Kaneko, Kana Yamaguchi, Keita Kamezaki, Yuka Togashi, Kiyoshi Nakamura, Noriyuki Iwabuchi, Miyuki Tanaka, Toshitaka Odamaki, Shinji Fukuda, and Yuji Naito

Gut Microbes Reports, 2025;2(1)

DOI: 10.1080/29933935.2025.2490092