「人を惹きつける“集まる場”の力」小山薫堂氏×JCD藤原が語る 大阪・関西万博の先にある未来
2025年、間もなく開催される大阪・関西万博は、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、未来のライフスタイルや社会のあり方を示す場として注目されています。本記事では、大阪・関西万博のテーマ事業プロデューサーである小山薫堂氏と、株式会社JTBコミュニケーションデザイン(JCD)代表取締役社長執行役員である藤原卓行氏による対談の内容を紹介します。「大阪・関西万博の先にある未来に、人を惹きつける集まる場をどう作るか」について、両氏の視点から深掘りしていきます。
小山氏は「人を惹きつける仕掛けとストーリーを生み出すプロ」、藤原社長は「場を作り、人をつなぎ、盛り上げるプロ」として、地域資源を活用した場づくりや体験型プロモーションの可能性を語り合っています。万博という大きな舞台を通じて、地域活性化や新たな体験価値の創出に向けた具体的なアプローチを探り、今後の観光業や地域振興にどのように生かされるか、未来へのヒントを示唆しています。
小山薫堂氏プロフィール: 放送作家、脚本家。京都芸術大学副学長。1964年熊本県生まれ。「料理の鉄人」「世界遺産」など多数のテレビ番組を手がけ、映画「おくりびと」で日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞。「Stand Alone/森麻季」や「ふるさと/嵐」の作詞も手がける。「くまモン」の生みの親でもある。執筆活動の他、地域・企業のアドバイザー、下鴨茶寮主人、大阪・関西万博では、テーマ事業プロデューサーを務める。
藤原卓行氏プロフィール: 株式会社JTBコミュニケーションデザイン(JCD)代表取締役社長執行役員。1969年北海道生まれ。日本交通公社(現JTB)に入社し、法人営業を中心にキャリアを積む。企業のミーティングやイベント領域での課題解決に取り組み、JTBにおける「営業コンピテンシーモデル」を構築した。美点凝視の精神で個の多様な強みを活かすをモットーに「JTBダイバーシティアワード大賞」を受賞。2024年4月より現職。高校野球を愛する熱血漢。
1.「いのちをつむぐ」食のパビリオンとは? 小山薫堂流 “気づき”のデザイン
小山氏は、2025年大阪・関西万博のテーマ事業プロデューサーとして「いのちをつむぐ」というコンセプトを担当。「食」をテーマに、万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」を、誰もが関心を持ち、ワクワクしながら楽しめる形で表現したいと考えました。
「EARTH MART」と名付けられたパビリオンは、スーパーマーケットを巡るような感覚で、食と「いのち」について考えられる空間です。展示スペースである「フロア」は「いのちのフロア」と「未来のフロア」に分かれています。
「いのちのフロア」では、日本人が一生で食べる卵の数(平均2万8千個)をシャンデリアのようなオブジェとして展示するなど、私たちが普段口にする食べ物が、多くの命によって支えられていることを実感できる展示がされています。「いのちの量り」では、蜂蜜5グラムがミツバチ1匹の生涯の収穫量であることを示し、食への感謝を促します。
「未来のフロア」では、食の未来に必要なものや、最先端の技術を紹介。「EARTH FOODS 25」というプロジェクトでは、25の食材や調理法を紹介し、日本の伝統的な食材や技術を見直すことで未来の可能性を広げようとしています。また、ソニーが開発中の「録食(ろくしょく)」という技術も展示され、料理をデータとして記録・再現する試みが紹介されます。
さらに、2050年にもらえる梅干し「万博漬け」の引換券を配布する企画も。「万博漬け」は、万博期間中に仕込まれた梅干しで、25年後の受け取りを約束するものです。
2.万博から50年後の未来へ。人と地域のつながりを育む場づくり
JCDは、1970年の大阪万博や2005年の愛・地球博など、数多くの国際的な大型イベントに携わってきました。2025年の大阪・関西万博でも、万博の成功に向けて取り組んでいます。
地域ブランディングと万博のプロデュースの違いについて、小山氏は「俯瞰の視点」が求められる点を指摘。地域ブランディングは特定地域の価値を高めるのに対し、万博は世界をどう見つめるかが問われると述べています。また、万博は50年、100年のスパンでその価値を評価されるべきだと強調しています。
藤原氏は、万博を経済効果だけでなく、人と社会のあり方を問うものと捉え、持続的な経済効果を生む仕組みの構築の必要性を訴えます。万博で整備されたインフラの活用や、観光業などとの連携による新たなビジネスチャンスの創出などを提案しています。
3.新たな潮流─体験価値の創出と地域プロモーションの工夫
訪日外国人旅行者数の増加に伴い、オーバーツーリズムや多様化するニーズへの対応、DXの遅れ、人手不足といった課題も顕在化している現状について藤原氏は言及。単に訪日客数を増やすのではなく、質の高い体験を提供し、地方への観光客分散も重要だと述べています。JCDは、自治体や関係団体と連携し、インバウンド向け展示会の企画・運営にも携わっています。
小山氏は、ロサンゼルスのジャパン・ハウスで予定されている大阪・関西万博のプロモーションイベントにおいて、体験型の要素を取り入れることを提案。藤原氏は、JCDが運営する「堺伝匠館」の事例を紹介。堺の伝統産業を紹介する施設で、職人による実演やワークショップを行うことで、来場者に「ここでしか体験できない」と感じさせる工夫がされていると説明しています。 小山氏は、「くまモン」プロジェクトの成功要因として、熊本県庁内の組織を横断的に繋げられた点を挙げています。
(記事の続きは、株式会社JTBコミュニケーションデザイン(JCD)のコーポレートサイトJCD NOW!をご覧ください。)


