2025年大阪・関西万博:宗教パビリオンはタブーか?Surfvoteによる世論調査結果
2025年、大阪・関西万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」です。最新テクノロジーや哲学的な展示が予定される中、生命や死、宗教とテクノロジーの接点を示唆する展示も検討されています。そこで、社会デザインプラットフォームSurfvoteを運営するPolimill株式会社は、この問題について世論調査を実施しました。
Surfvoteによる世論調査「万博に「宗教のパビリオン」はタブーか?」
正覚寺住職の鵜飼秀徳氏の発案により、Surfvote上で「万博に「宗教のパビリオン」はタブーか?」というイシュー(社会問題)に関する投票が行われました。調査期間は2024年4月30日から6月30日でした。
調査概要
- 調査主体: 社会デザインプラットフォーム Surfvote
- 調査対象: Surfvote上でアカウントを持つユーザー
- 調査方法: Surfvote上での投票
- 有効票数: 18票(2025年5月16日時点)
- 投票URL: https://surfvote.com/issues/u9vsskpux0pt (※記事本文への掲載は不要)
調査結果とコメント
以下の選択肢に対し、Surfvoteユーザーが投票を行いました。
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伝統的宗教のパビリオンなら入ってみたい: 27.8%
- コメント例:「宗教に興味があるから入ってみたい。「いのち」というテーマともつながるし、なんなら私にとって万博の中で一番そそられる展覧かも。科学技術が外向きの探求だとしたら、生き方や魂については内向きの探求と言えるよね。万国博覧会の名にふさわしい幅の広さだと思う。ただ、新興宗教の布教活動を無制限に許してしまうのは子どもに悪影響だとも思うから、一応伝統的宗教に限ってみた。」
- コメント例:「舶来の宗教も然る事ながら、万博においては日本に固有の伝統的宗教を布教する機会に出来まいかと考えている。特に仏教や神道については日本人の死生観や美学などの精神性と深く深く結びつく土着の人間哲学でもある。また仏像や鳥居などは文化財として保護される対象でもあり、理解を推進することは大切である。寺社の財政難が方々で度々取り上げられるところをみると、熱心な信者や檀家は減っているのであろう。帰依を促すことはしなくとも、文化伝統について実地での学習が出来るならば、修学旅行などで万博を訪れる価値もあるというものであろう。」
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新宗教のパビリオンなら入ってみたい: 0%
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伝統的宗教、新宗教のパビリオンのいずれも入ってみたい: 38.9%
- コメント例:「文化と宗教は密接に関連していると思うので、展示があってもいいと思う。ただし、ファクトチェックや他者の口撃にならないような配慮は必要だと思う。」
- コメント例:「宗教の展示を推奨するつもりはないけど、否定することもないと思う。ただ、世の大多数の宗教はどこまで多様性や共生を許容するんでしょうね。」
- コメント例:「意識するしないに関わることなく人は宗教と関わって生活している以上万博に宗教パビリオンはあってもかまわないと思う。きちんとした手続きは不可欠であるが宗教パビリオンを万博に設置することはむしろ万博の理念を推進するものではないか。本題を考える中、日本人と宗教について考えていてふとそう思った。」
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いかなる宗教教団のパビリオンの出展も認めない: 16.7%
- コメント例:「実質の布教になるためタブーかと思う。三大宗教の根っこの考え方くらいならいいが、各宗派が独自の解釈をした価値観を推し進めようとする場を提供してしまうのは好ましくない。宗教とはどこも「うちの言ってることこそ正義。疑わず信じろ。救われるぞ」の思考回路。公平性に反する。」
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どちらでもない: 5.6%
- コメント例:「宗教と文化は切っても切り離せないものだと思いますし、宗教があることで救われている人も多いと思うので出店が悪いとは思いませんが、中には過激派な宗教もあるので一概にいいとは言えない。」
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わからない: 5.6%
- コメント例:「個人的には面白そうだなと思うのは事実です。しかし、中立性の観点から課題もあるのではないかと感じました。あらゆる宗教を並べて収容できるわけではない以上、EXPOの区画を獲得できる宗教とそうでない宗教が出てきます。各国の政府が前面に立つ手続きとはいえ、結果的に特定の宗教あるいは宗派を優遇していると見られないでしょうか。また、そのように中立性を欠くことはすなわち政教分離への抵触を意味するのではないでしょうか。EXPOのように国際的なイベントで求められる手つきの慎重さとしては、五輪のように政治や宗教と徹底的に切り離すレベルのものであるべきかもしれません。」
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その他: 5.6%
- コメント例:「万博は、基本的に国ごとにパビリオンを出展しているという認識ですが、そもそも、国自体が大きな「宗教団体」ではないでしょうか。開催国の日本自体が、天皇を戴いていますので、神道の「宗教団体」と言えると思います。また、イスラエルもユダヤ教の「宗教団体」と言えると思います。その他にも、国家と宗教が実質的に一体化している国は、沢山あります。すなわち、巨大な「宗教団体」である国がパビリオンを出展している以上、通常の宗教団体がパビリオンを出展することは、危険なカルト教団ではない限り、問題ないのではないでしょうか。」
鵜飼秀徳氏について
このイシューを執筆したのは、京都・嵯峨の正覚寺出身で、新聞記者、雑誌編集者を経て独立した鵜飼秀徳氏です。宗教と社会の関係性について取材・発信を続け、テレビ・ラジオにも出演しています。著書に『寺院消滅』(日経BP)、『ビジネスに活かす教養としての仏教』(PHP)、『仏教抹殺 なぜ明治維新は寺院を破壊したのか』『仏教の大東亜戦争』(いずれも文春新書)などがあります。大正大学招聘教授、東京農業大学・佛教大学非常勤講師、全日本仏教会広報委員(有識者)なども務めています。
Polimill株式会社について
Polimill株式会社は、社会デザインプラットフォームSurfvoteを運営するICTスタートアップ企業です。Surfvoteでは、一般社会や地方自治体の社会課題について意見交換の場を提供しています。
まとめ
2025年5月16日時点でのSurfvoteの世論調査では、「宗教のパビリオン」への賛否両論が明らかになりました。「伝統的宗教」への関心が高い一方で、「新興宗教」や「布教活動」への懸念も示されています。万博における宗教展示の在り方については、更なる議論が必要であると言えるでしょう。


