2025大阪・関西万博民間パビリオン「BLUE OCEAN DOME」、モルディブへの移設決定
2025年、開催された大阪・関西万博で注目を集めた民間パビリオン「BLUE OCEAN DOME」。特定非営利活動法人ゼリ・ジャパン(ZERI JAPAN)が出展したこのパビリオンは、万博会期終了後、海洋国家モルディブ共和国への移設が決定した。
ZERI JAPANは、2001年設立の特定非営利活動法人。資源とエネルギーを循環再利用し、廃棄物をゼロに近づける「ゼロ・エミッション構想」(ZERI : Zero Emissions Research and Initiatives)を理念とし、環境教育の啓発、産業クラスター構築などを通じて循環型社会の実現を目指している。
大阪・関西万博では、「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」の実現に向け、海洋資源の持続的活用と海洋生態系の保護をテーマとした「BLUE OCEAN DOME」を出展した。「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」は、2019年のG20大阪サミットで発表され、2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにすることを目指すビジョンである。
「BLUE OCEAN DOME」の建築設計は、世界的に著名な建築家、坂茂氏が担当。紙管、竹集積材、カーボン・プラスチックといったサスティナビリティを体現する建築素材を使用し、「強くて軽い」という新たな建築イノベーションを実現している。このイノベーションは、サーキュラー・エコノミーやESGの推進が求められる現代社会において、今後の建築のあり方にひとつの指針を示すものだと言える。万博期間中のみならず、万博会期終了後の継続活用を前提とした設計思想は、資源の有効利用を図り、サスティナブルな万博運営を目指す大阪・関西万博の理念と合致している。
モルディブ共和国での移設先は、坂茂氏が建築設計を担当している海洋リゾート開発プロジェクト内を予定しており、詳細は関連当局や関係先と調整中である。
ZERI JAPANは、海洋資源の持続的活用と海洋生態系の保護を全世界に発信し、国際社会と人々の行動変容を喚起することを目指した「BLUE OCEAN DOME」の万博会期終了後のモルディブ共和国での再活用を、海洋国家日本から世界に向けたブルー・イノベーション、そして大阪・関西万博のレガシーとなるものとして期待している。
坂茂氏 略歴
1957年 東京都生まれ。アメリカで建築を学び、東京、パリ、ニューヨークに事務所を構える。紙管を使った建築や、木材を使った革新的な構造で知られる。1995年にNGO「Voluntary Architects’ Network(VAN)」を設立し、世界各地での災害支援に数多く貢献。プリツカー建築賞(2014年)、マザー・テレサ社会正義賞(2017年)、アストゥリアス皇太子賞平和部門(2022年)、高松宮殿下記念世界文化賞建築部門(2024年)を受賞。代表作にポンピドー・センター メス(2010年)、紙のカテドラル(2013年)、静岡県富士山世界遺産センター(2017年)、禅坊 靖寧(2022年)、SIMOSE(2023年)、豊田市博物館(2024年)などがある。
会社概要(ZERI JAPAN)
特定非営利活動法人ゼリ・ジャパンは、「ゼロ・エミッション構想」を基軸に、環境教育の啓発と実践、産業クラスターの構築などを通じて循環型社会の実現を目指している。
まとめ
2025年大阪・関西万博の民間パビリオン「BLUE OCEAN DOME」は、万博終了後、モルディブ共和国に移設されることが決定した。坂茂氏設計によるこのパビリオンは、サスティナブルな建築素材と設計思想によって、万博のレガシーとして、海洋環境保全への意識向上に貢献すると期待されている。